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「ハテ残念閔子騫。」

GoShuです。

あまり連続して池央耿さんの翻訳のことを並べてもなんですが、3日前からの予告ですので、とりあえずもう一つだけ。

原作「黒後家蜘蛛の会」に出てくるリメリックや洒落などの訳で、私が一番驚いたのが「明白な要素」の中にあるリメリックの第5行です。

愚かなるかなリュキア人

ゼウスの威を借り一矢報いる敵の陣

 トロイの信義形もなし

 そもパンダロスの勇み足

神かけた誓いの和平破れて残念閔子騫

「残念閔子騫」というのは、孔子の弟子の「顔淵」を「残念」と掛け、それに同じく孔子の弟子である「閔子騫」を続けた、洒落・地口のたぐいです。語呂のいい言い回しですね。

古い感じの言葉・・・というよりは、はっきり古い言葉です。小さめの辞書で用例を見ても、だいたい江戸時代の書物からの引用です。私はたしか「東海道中膝栗毛」の中で見た気がします。(たしか今日のタイトルのようだったと思います。30年くらい前の記憶ですので、誤りがあればご指摘をお願いしたいのですが。)

なので、最初に見たときは驚き、不思議に思いました。「どうしてこの言葉をわざわざ使ったのだろうか?しかもトロイ戦争の詩に?」と。その不思議さは、「残念無念」でも韻は同じように踏めるのでなおさら強く感じました。

「おそらく、原文に何か同様の洒落や言い回しがあるのでこの言葉を使ったのだろう」というのが私が漠然と思ったことでした。

で。

今回、年来の疑問を解く機会が来た!とわくわくして原文に当たった次第なのです。

それがこちら!です!

Next  a Lycian attemped a ruse

With an arrow----Permitted by Zeus.

  Who will trust Trojan candor, as

  This sly deed of Pandarus

Puts an end to the scarce-proclaimed truce?

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・特に変わった言い回しはなにもないみたい・・・・・・・・・・・・

というわけで、残念ながら、年来の疑問を解くことはできませんでした。

とはいえ。

「六千四百京の組み合わせ」において14文字の組み合わせを皆が考えますが、その中で

「<孤独なること雲の如くに(LONELY AS A CLOUD)>」や

「ミルトン、汝今ぞあれかし」

などが挙げられます。よく読むと、これらは原語のみならず、

"日本語訳もすべて"

14文字(音節)になっているのです。

私は初読から20年近く経ってからこの事実に気がつき驚倒しました。

このような例があるので、「残念閔子騫」にも何か私の気がつかない理由があるという気がしてならないのです。

もしその理由をお気づき、ご存じの方がおられたら、是非ご教示を賜りたく思います。

というわけで、本日は名実ともに残念報告でした。こんなことにこだわるのも私くらいのものでしょうが。

補足。

上述の原文リメリックは、1、4、5行目が韻を踏んでいます。Zeusは英語では「ズース」と発音するので、ルーズ、ズース、トゥルース、となります。

2、3行目はやや微妙ですが、「アズ」と「パンダラス」でやはり韻を踏んでいるという解釈でいいのでしょう。

そしてもちろん!訳文もそうなっています。

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