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2014年9月

その質問の衝撃は

過日、ある方と黒後家蜘蛛の会についての会話をした際、

「例の『あなたは何をもってご自身の存在を正当としますか?』という質問はどれくらいショッキングな、普通でないものなのか」

という話題が出ました。

この質問はもちろん、黒後家とは切っても切れない関係で、ひとつのトレードマークになっています。

原作を知らないで贋作集を読んでくださった方から、「あれってアメリカではよく使うんですか?」という質問をいただいたこともありました。

結論からすれば、ちょっとした悪いいたずらみたいなもので、決してメジャーな質問ではないと思われます。

しょっちゅうお互いに相手の存在意義を糾問しあってたら困りものというもんだ。

しかし、贋作を書くにあたっては、ちょっと別の問題があります。

さて、「贋作上では、どのようにゲストに応対させればいいだろうか?」ということです。

私の感覚としては、原作ではけっこうこの質問はゲストにスルーされるのです。

ただ、贋作でスルーしまくってたら物足りないというものですし、逆に全作品でとまどったり怒ってたりでは逆にうるさいというものです。

で、「原作ではこの質問はどのようにゲストに受け止められたか」をまとめてみました。(1~5までの60話を対象)


「あなたは何をもってご自身の存在を正当としますか?」



表がデカくてわかりにくいですのでサマリーをしますと、

1.そもそも、半分近い26話では、この質問は発されない。

2.残り34話のうち、半分の17話では、何事もなかったように普通に答える。

3.9話では、ちょっと笑う程度の反応。

4.とまどったり、きょとんとするなど、質問に対して特異な反応をするのは8人だけ。

結論としては、私の感覚と近かったということになります。

原作で毎度毎度驚かせては逆に芸がないということになってしまうので、まあこんなものかな、という感じです。

贋作でもまあ、毎度毎度驚かせないほうが安全、というところでしょう。

再度表を眺めると、最初のうちはこの質問がないことが多いことに気付きます。

初期の頃はいろいろ試行錯誤をしていた、ということもあるでしょうし、後期は型に嵌めてあまりいろいろ工夫を凝らさなくなった、という印象も受けます。

この質問のことにに限らず、初期作品のほうが融通無碍な面白さを感じますしね。

しかし、半分近くこの質問がないのは私もちょっと意外でした。

トランブルの「死にかけた男にソーダ割りのスコッチを頼む」が原作で2回しか出ていないことは前にも書いたことはありますが、出現回数の割に印象が強い事象というものはやっぱりあるようです。

さて。

まあ、四方山話も悪くはないのですが。

次回は……いい知らせをお届けしたいと思っています。

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指輪物語とか

いま、通勤時に『指輪物語』を読んでおります。おはずかしいが初読。(映画は見ました)

この作品が『黒後家蜘蛛の会』にもゆかり深いことは、この場所においでの方はもちろん先刻ご承知でしょう。

当該黒後家作品以外にも、アシモフは何ヶ所かで『指輪物語』のことを書いています。

一例として、ライフワークとしていたF&SF誌の科学エッセイ。

Asimov_ring1_2

今は亡き社会思想社から出ていた現代教養文庫のひとつです。オールドファンにはなつかしいところ。

この中の『全と無』というエッセイの冒頭で、『指輪物語』のことを書いています。

いわく、

「何度も読み返して、そのたびごとに感心し、たったの50万語しかないことに腹立ちを覚えるほどだ」

「構成として、ささやかな発端からはじまり、二つの流れに分かれ、そして最後に融合したうえでささやかに終わるのがうれしい」

「二つの流れのうち、ひとつはどんどん大掛かりになり、世界を巻き込む大戦争になる。そしてもうひとつの流れは小さく小さくなり、二人のこびとが弱々しく火山を登っていくところで終わる」

「大から小へ、小から大へ、さらに、大から小へ。そして最後に小が意味を持つ。一見無に等しいものがすべてを救う」

「ものごとはすべてそうあるべきだと主張し、主張するだけでなくそれを語ってみせてくれる」

引用が長くなりましたが、上記のように激賞しています。

そして、上記をマクラにして、「大と小」を「全宇宙と素粒子」になぞらえ、宇宙の質量とニュートリノを主題としてエッセイを書いているという構成です。

ご存知のように、F&SF誌の科学エッセイのマクラは、黒後家のあとがきみたいなものですね。

この本はほとんどが宇宙物理学と素粒子をテーマにしたエッセイ9編を集めていますが、黒後家のそれと同様、マクラだけでも面白い。

さて。で、実はここから本題なのですが。

上記のようにこの本は宇宙物理学と素粒子に関わる科学エッセイなのですが。

カバー折り返しの作品紹介はこうだ。

Asimov_ring2

『指輪物語』をたしかにほめちゃいるけれども、あくまで9編のうち1編のマクラにすぎないのだぞー。あまりにも強調しすぎだろー。

てなわけで、変なところでさらにフィーチャーされていた『指輪物語』でありました。

しかし社会思想社さまは、今後はもうちょいアオリ文句を考えていただきたい……

……

……倒れてたか。うむ。

なお、前記事で引用した『黒後家蜘蛛の会6』についてのリンク先に、「『黒後家蜘蛛とバットマン』は、版権の都合で収録は難しい」ということが記載されておりました。

この『黒後家蜘蛛とバットマン』を収載していたのが、なにを隠そう、社会思想社・現代教養文庫「バットマンの冒険2」なのでございました。

さて。

それはそれとして。

かんじんかなめ、お待たせしております『黒後家蜘蛛の会贋作集2』ですが、紹介動画を作り始めております。

本編はまだできてませんが、作り始められるところからといったところです。

間延びはしておりますが、もう本編ではなく周辺のアレコレをするくらいに公開大詰め近いことは変わりありませんので、今しばらくお待ち下さい。

それでは。

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